バングラデシュの大気汚染、経済成長と健康を阻害

バングラデシュの大気汚染が同国の経済成長を阻害しているとともに、早死や疾病の原因になっているとするリポートが、世界銀行によって公表された。同リポートによると、2019年には大気汚染が国内総生産(GDP)を3.9-4.4%押し下げ、死亡および身体障害原因の第2位となった。同年の大気汚染による死者は推計78,145から82,229人で、特に首都ダッカの汚染が最も深刻だった。

深刻な大気汚染の中 生活を余儀なくされる市民

世界保健機関(WHO)が3月に世界6,475都市を対象に実施した調査では、2021年にWHOの大気基準を満たした国はなかった。バングラデシュ・ブータン担当代行のダンダン・チェン氏は、「大気汚染に包まれた状態は(子どもから高齢者まで)誰もにリスクをもたらす。持続的なグリーン成長と発展には大気汚染対策が必須」と述べた。

バングラデシュでは、大規模建設と交通が絶えない最大都市ダッカでは、微粒子物質の量が1日当たり1.7本の喫煙に相当する水準という。このレベルの大気汚染は、住民に深刻な健康被害をもたらすことが知られている。

世界銀行は、バングラデシュ政府が推進するグリーンエネルギーや公共交通機関の整備などの施策により、大気汚染を改善するための取り組みを支援していくとしている。ただし、このような取り組みを実現するためには、政府や民間セクターの協力が必要であり、大気汚染対策に対する意識改革が必要であるとしている。

また、この問題はバングラデシュだけでなく、世界的な課題であり、各国が取り組む必要があるということを強調している。世界銀行は、バングラデシュ政府が、この問題を真剣に受け止め、積極的な対策を進めていく。