【ネパール農業革命】ドローンがサトウキビ農家を救う

2025年12月15日

ネパール西部のカンチャンプル郡。ここでは今、ドローン技術によって伝統的な農業が劇的な変革を遂げています。長年、サトウキビ農家を悩ませてきた「背の高い作物への散布」や「野生動物の脅威」という課題を、最新のテクノロジーが解決しています。

「手作業」の限界と命の危険 ベラウリ市に住むサトウキビ農家のアシュラヤ・バダヤヤックさんは、かつての苦労をこう振り返ります。「サトウキビは背が高く育つため、手作業の噴霧器では農薬や肥料が隅々まで届きませんでした。さらに、作業中に化学薬品を直接浴びる健康リスクに加え、畑にはトラやヒョウといった猛獣が潜んでいる恐怖もありました」

15分で0.68ヘクタールをカバー、収益も向上 転機が訪れたのは2年前。スドゥルパスチム州政府から50%の補助金(購入額130万ルピー)を受け、18リットルタンク搭載のドローンを導入しました。

驚異の効率化: 手作業では困難だった1ビガ(約0.68ヘクタール)の土地を、わずか15分で正確に散布。

多角経営の実現: サトウキビ以外にも、マスタード、小麦、トウモロコシ、マンゴーなど多種多様な作物に活用。

経済的成功: バダヤヤックさんの年収は現在200万〜250万ルピーに達し、州の「ベストファーマー賞」を受賞するまでになりました。

広がる「スマート農業」の波 農業知識センターの情報担当官、ダルマ・サウド氏は「大規模な商業農業において、ドローンは時間、労力、コストを大幅に節約する」と評価しています。一方で、土地が細分化されている小規模農家にとっては、導入コストと技術的な壁が依然として課題であるとも指摘しました。

多分野で活躍するネパールのドローン 現在、ネパールでは農業以外でもドローンの活用が加速しています。

ヒマラヤ登山: 遭難者の熱検知捜索、クンブ氷滝の3Dマッピングによる危険察知、ゴミ回収。

災害救助: 昨年9月の豪雨災害では、地滑りで道路が寸断されたカヴレ地区などの隔離地域へ、ドローンによる救援物資の輸送が行われました。

バダヤヤックさんは語ります。「ドローンのおかげで農業は容易になりました。コストを抑え、効率を高めるだけでなく、私たちの健康と安全も守ってくれるのです」