タイ軍がカンボジアの国境都市ポイペトを爆撃 ―― 停戦合意は崩壊、避難民80万人に

2025年12月20日

 タイとカンボジアの国境紛争が激化している。タイ空軍は18日、カンボジア最大の国境の町でありカジノの拠点として知られるポイペト近郊の「後方支援センター」を爆撃した。両国間の戦闘は今月に入り再燃しており、事態は極めて深刻な局面を迎えている。

カジノの拠点ポイペトを初空爆

タイ空軍の広報官によると、今回の攻撃対象はポイペト郊外に位置し、多連装ロケット砲「BM-21」を保管していた軍事拠点であると説明。「民間人に被害はなかった」としている。一方、カンボジア国防省も同日午前11時ごろに爆弾2発が投下されたことを確認した。

ポイペトはタイ人観光客にも人気のカジノタウンであり、今回の紛争で同地が直接爆撃されるのは初めてとみられる。

停戦合意は完全に崩壊、死者は38名に

両国は100年来の国境紛争を抱えているが、今年7月の武力衝突を受け、マレーシアのアンワル・イブラヒム首相とアメリカのドナルド・トランプ大統領の仲介により「即時無条件停戦」に合意していた。トランプ氏は当時、関税交渉をカードに圧力をかけたが、先週からの空爆再開により、この合意は事実上崩壊した。

トランプ氏は先週、「自分が電話一本かければ戦闘は止められる」と主張したが、その後も戦闘は収束の気配を見せず、今週には世界遺産アンコールワットを擁するシェムリアップ州も初めて空爆の対象となった。

80万人が避難、国境封鎖で数千人が足止め

今回の衝突による犠牲者は、これまでにタイ側で21人、カンボジア側で17人の計38名に達した。両国合わせて約80万人が避難を強いられる人道危機に発展している。

また、カンボジア政府は民間人のリスク低減を理由にポイペトの検問所を封鎖。タイ当局の発表では、現在も5,000人から6,000人のタイ人が現地に足止めされている。カンボジア内務省は、出国を希望する者に対して航空便の利用を促しているが、物流や人の往来への影響は避けられない見通しだ。