タイ南部で「300年に一度」の記録的豪雨 死者33名、空母投入の異例事態に

2025年11月28日

 タイ南部を中心に、過去一週間にわたり壊滅的な豪雨が襲っている。タイ当局は26日までに少なくとも33人の死亡を確認した。特にマレーシア国境に近い商業都市ハートヤイでは、1日の降雨量が過去300年で最多となる335ミリを記録。甚大な被害に対し、タイ軍は航空母艦を含む艦隊を救助活動に投入する異例の措置を発表した。

「孤立する数百万人の市民」SNSで悲痛な叫び

タイ国内での被災者は200万人を超えているが、避難所に到達できたのはわずか1万3,000人にとどまっている。大多数の人々は住宅の屋根の上などで救助を待っており、SNS上では「水が2階に達し、子供や高齢者が閉じ込められている」「スマートフォンのバッテリーがわずかだ。1秒1秒が重要、助けてほしい」といった悲痛なSOSが相次いでいる。

濁流から逃れるために電線にぶら下がる少年の映像も拡散されるなど、現地は凄惨な状況を極めている。

タイ軍、空母を「浮かぶ病院」として派遣

事態を重く見たタイ政府は、甚大な被害が出ているソンクラー県を災害地域に指定。救助の指揮を執るタイ軍は、救援物資を積んだ艦艇14隻に加え、航空母艦を派遣する準備を進めている。

この空母は「浮かぶ病院」としての機能を備え、艦内の医療チームが負傷者の対応にあたるほか、1日3,000食の提供が可能な野外キッチンも同行させる。また、自治体はボートやジェットスキー、高床トラックを総動員して孤立地域の解消を急いでいる。

東南アジア全域で猛威を振るう雨雲

被害はタイにとどまらず、近隣諸国にも広がっている。

  • ベトナム: この一週間の死者数が98人に達した。
  • マレーシア: 北部を中心に1万9,000人以上が避難。126カ所の避難センターが設置された。
  • インドネシア: 少なくとも19人が死亡。北スマトラ州では地滑りにより7人が埋没したままとなっている。

例年、この時期の東南アジアは季節的な豪雨に見舞われるが、今年は「例年にない規模」とされており、気候変動の影響を指摘する声も上がっている。