アパレル大手に打撃、バングラデシュで賃上げデモ激化

2023年11月12日

バングラデシュでは、約400万人の縫製労働者が賃上げを求める激しい抗議運動が続き、2週間にわたるデモ隊と警察の衝突で死傷者が出ています。

警察が催涙弾やゴム弾を使用し、デモが暴徒化したとの組合の主張により、これまでに3人の労働者が死亡しました。バングラデシュの賃金委員会は、12月1日から縫製労働者の月額賃金を113ドル引き上げる決定を下しましたが、これに不満な労働者と労働団体は、過去5年の高いインフレ率を考慮して拒否しています。

H&M、ザラ、リーバイスなどアパレル大手の縫製労働者は、現在の月額95ドルの賃金に不満を抱き、月額208ドルの要求をしています。デモの影響で多くの工場が休業を余儀なくされ、バングラデシュはアパレル製造業における世界第2位の地位を危うくしています。

デモ参加者の中には病院に搬送される者もおり、米国務省によればデモ隊による工場の火災で32歳の労働者が死亡。また、警察との衝突で26歳の労働者も犠牲となりました。

米国務省報道官のマシュー・ミラーは、バングラデシュ政府に対し、「労働者や組合員に対する弾圧が懸念される」とし、最低賃金の見直しを求めました。なお、このデモは、バングラデシュで縫製工場が密集していた9階建てのビルが崩壊し、1100人が死亡した事件以来、ほぼ10年ぶりの激化となっています。