2024年12月19日
近年、中国の映画業界が低迷している。2024年の映画チケット販売総額は前年と比較して22%の減少を記録し、2023年の力強い回復から一転して厳しい状況に陥っている。

2024年の旧正月期間には『YOLO 百元の恋』や『飛弛人生2(ペガサス2)』といった大ヒット作品に支えられ、興行収入は11億ドルを突破。しかし、その後は下降傾向が続いている。業界関係者は複数の要因が影響していると指摘するが、明確な理由は解明されていない。
中国の映画観客層にも変化が見られる。かつて映画館に足を運んでいた若者の数が減少し、観客の平均年齢は22歳から26歳へと上昇。若年層は映画館よりも他の娯楽を選択する傾向にあり、その背景には経済状況の悪化も関係している。
中国経済は近年、不動産市場の低迷や消費意欲の減退により厳しい状況が続く。特に若年層の雇用環境は深刻で、失業率が高止まりしている。この影響で消費者は支出を抑える傾向にあり、映画館離れが進んでいる。
さらに、短編動画プラットフォームの台頭も映画離れの一因となっている。TikTokの中国版「Douyin」や「Bilibili」、「小紅書」などのサービスが普及し、手軽に楽しめるコンテンツが映画に取って代わっている。
ハリウッド映画の影響力も低下している。2024年の米国映画の興行収入は7億9730万ドルと依然大きな額を占めるものの、2019年の25億ドルと比較すると68%の減少。地政学的な影響や中国の映画規制強化により、公開される米国映画の本数も減少傾向にある。
その一方で、中国国内の映画制作は規模を拡大し、ハリウッドに匹敵する制作費が投じられるようになった。消費者は外国映画ではなく、自国の文化に根差した作品を選ぶ傾向が強まっている。
映画業界の先行きは依然として不透明だが、専門家は多様な作品の供給が必要だと指摘する。中国には約8万のスクリーンがあり、それらを満たすためには国際的な映画市場との交流が不可欠だという声も上がっている。