2024年12月12日
日本とインドの経済協力が新たな段階を迎えている。経団連は11月13日、東京で南アジア地域の経済動向をテーマに会合を開き、インドのビジネス環境と投資機会について意見を交わした。インド経済の成長とインフラ整備の進展に加え、日本企業の参入機会が注目されている。

急成長を遂げるインド経済
インドは現在、第三の経済成長期に突入し、今後10年以上にわたる安定成長が期待されている。世界経済が不安定な中でも7%台の成長率を維持し、2050年には約30兆ドル規模に達すると予測されている。
この成長を支えているのが、積極的なインフラ整備である。鉄道、道路、港湾、空港といった基盤整備が加速し、経済活動の活発化に寄与している。また、デジタル技術の導入も急速に進み、身分証明や決済システムなどのデジタル公共インフラ(DPI)が発展。他の新興国にとっても参考となるモデルが確立されつつある。
製造業の振興と投資機会
インドは製造業の発展を国家戦略と位置付け、特に半導体やエレクトロニクス産業の強化に注力している。政府の補助金制度やインフラ整備の進展により、物流コストの削減と電力の安定供給が実現しつつある。さらに、地政学的な変化により、インドは調達先としての魅力も高まり、中東やアフリカ市場への輸出拠点としての役割も期待されている。
日印協力の新たな可能性
電気自動車(EV)をはじめとするエレクトロニクス・半導体分野では、日本企業の技術力が不可欠となっている。今後、日本企業の積極的な進出が望まれる一方、欧米や韓国企業と比較すると、日本企業はインド市場への参入に慎重な姿勢を見せる傾向がある。
また、重要鉱物の確保やサイバーセキュリティ対策など、国際的に協力が求められる分野も広がっている。特に日米豪印の4カ国(QUAD)による連携は、経済のみならず安全保障面でも重要な役割を果たすと考えられる。
今後、日本企業がインド市場への理解を深め、積極的に参入することで、両国の経済関係が一層発展することが期待される。