2023年1月10日
ミャンマーで独立から75年の記念日にあたる2月4日、軍のトップ、ミン・アウン・フライン司令官が出席した式典で、ミャンマー軍は服役中の受刑者7012人に恩赦を与えることを発表した。しかしながら、アウン・サン・スー・チー氏は恩赦の対象には含まれていなかったため、国際社会からの解放を求める声が高まりそうである。
スー・チー氏は、ミャンマー軍によって拘束され、汚職などの有罪判決で33年間の刑期を言い渡されている。軍のトップであるミン・アウン・フライン司令官は式典で、「個人崇拝は国をまとめるにあたり有害な影響を及ぼす」と述べ、アウン・サン・スー・チー氏を支持する民主派勢力を批判した。
スー・チー氏に近い関係者は、恩赦について「当局からスー・チー氏に恩赦が与えられたとの連絡はない」と話し、今回の恩赦にスー・チー氏が含まれていないとの見方を示しました。国連の安全保障理事会は先月、スー・チー氏の解放を求める決議を採択しており、今後、国際社会からの解放を求める声が高まりそうだ。
ミャンマー軍は、スー・チー氏をはじめとする民主派勢力に対する弾圧を強めており、国際社会からの非難を浴びている。また、新型コロナウイルスの感染拡大により、ミャンマーは深刻な経済危機に直面しており、政治情勢の不安定化がさらに深刻化している。
ミャンマーでは、独立記念日に合わせて恩赦を与えることがしばしば行われており、前回は2021年1月に行われた。その際にも、約23,000人の受刑者に恩赦が与えられたが、アウン・サン・スー・チー氏は含まれなかった。今回の恩赦についても、スー・チー氏が含まれなかったことが注目されている。
アウン・サン・スー・チー氏は、かつては国民的英雄として、ミャンマーの民主化運動を牽引する存在だったが、2015年に民主化のプロセスが進む中で政権を担うようになり、軍との対立が深まった。2021年2月には、軍によるクーデターが発生し、スー・チー氏をはじめとする民主派政治家らが拘束された。
その後、ミャンマーでは、軍と民主派勢力との対立が激化し、治安部隊による鎮圧が行われるなど、混乱が続いている。国際社会からは、軍による人権侵害の停止や、民主化の促進を求める声が強まっている。
アウン・サン・スー・チー氏の拘束については、国際社会からも強い非難が出されており、日本をはじめとする多くの国が、解放を求める声明を発表している。国連の安全保障理事会も、解放を求める決議を採択するなど、スー・チー氏の解放を求める動きが広がっている。
今回の恩赦についても、スー・チー氏の支持者や人権団体からは、スー・チー氏を含めた政治犯全員の解放を求める声が上がっている。一方で、軍側は、スー・チー氏を含めた政治犯の解放には消極的であり、今後も対立が続くことが予想される。