ミャンマー国軍 銃所持の原則を復活 民兵を合法化へ

ミャンマー国軍、クーデター後に「国家に忠誠を誓う」人々に銃器と弾薬の所持を認める原則を復活させたことが分かった。これにより、民主派の抵抗勢力と戦う親国軍の民兵組織などを合法的に武装させる狙いがあるとみられている。

武装する市民

国軍傘下の内務省が作成した文書によると、ネウィン政権時代の一九七七年に制定された武器の所持に関する原則に修正を加え、復活させた。昨年12月に開かれた「閣議」で承認されたという。

規定によれば、38口径以下の拳銃やレボルバーなど5種類は免許で所持が可能で、民兵組織などは許可を得れば、自動小銃や短機関銃も所持できるようになる。ただし、サイレンサーや望遠鏡機能を持つ照準器の使用は認められていない。

許可証の申請者は18歳以上で、国家への忠誠心があり、善良な人格者であることなどが条件。また、当局から地域の治安維持や犯罪の抑止などへの参加を要請された場合、従わなければならないという。

ミャンマーでは、クーデター以来、反政府デモが続いており、治安部隊が抗議活動を弾圧している。この原則の復活は、国軍が抵抗勢力や民主活動家への攻撃を強化することを意味するとの見方もある。さらに、この動きは、かつてミャンマーの軍事政権が行っていたように、反政府勢力を弱体化させ、国軍の権力を強化するためのものと見られる。

この銃器の所持に関する規定については、国内外で懸念の声が上がっている。国軍がこれまでに抑圧してきた民主派や少数民族などの人々が、銃器を手にすれば、より一層の暴力行為が起こる可能性があるからだ。

また、一部の親国軍派の民兵組織は、既に武装していることが報じられており、これらの武装組織が公式に合法化されることで、国内の治安情勢が悪化する懸念も指摘されている。

ミャンマーでは、2021年2月のクーデター以降、国軍と抗議活動を行う市民らとの間で死傷者が相次いでおり、国際社会からは強い非難が出ている。また、国軍はこれまでに、少数民族地域での武力衝突を繰り返しており、数十万人以上が内戦での戦闘や追放などの影響で難民となっている。

国軍が銃器の所持を合法化することで、少数民族などの人々がより一層の危険にさらされることになる可能性がある。国際社会は、ミャンマー国軍による武力行使や人権侵害に対して、引き続き厳しい姿勢を示す必要があるとされている。

一方で、ミャンマー国軍側は、銃器の所持を合法化することで、治安維持や犯罪抑止などの目的で、国民の自衛意識を高めることができると主張している。しかし、これまでの国軍の行動を見る限り、この主張に対して疑問が残る。

ミャンマー国内の情勢は、未だに不安定な状況が続いており、今後の展開に注目が集まっている。