2022年11月18日
サッカーのワールドカップ(W杯)が20日に開幕するカタールは、出稼ぎ外国人を劣悪な環境下で働かせたとして批判されてきた。イスラム圏でのW杯開催は初めて。
英BBC放送(電子版)によると、カタールは2010年のW杯開催決定以降、7つのスタジアムの建設にバングラデシュやインド、ネパールなどの外国人労働者3万人を動員した。国際人権団体は16年、旅券を取り上げて不衛生な住居をあてがい、強制的に労働させていると非難した。
カタールでは、サッカーワールドカップの開催に伴い、新たに多数の建設プロジェクトが進められており、外国人労働者が多数従事している。しかし、その一方で、外国人労働者たちの労働環境は非常に厳しい状況にある。
特に、ネパール人を含む南アジア諸国出身の労働者たちは、低賃金で働かされ、長時間労働が強いられる上に、住居条件や衛生環境が悪く、人権侵害が横行している。
例えば、カタールでは、建設現場での高温作業が多く、外国人労働者たちは、炎天下での作業や十分な水分補給がないまま長時間労働を強いられている。また、多くの労働者たちは、労働契約が不適切で、賃金未払いや賃金不足、労働時間の違反、自由な移動の制限、パスポートの没収など、人権侵害が続いている。
さらに、労働者たちの住居条件も問題視されている。多くの労働者たちは、劣悪な状態の宿泊所や集合住宅に暮らしており、衛生環境が悪く、十分な水や食料の提供もされていない。
こうした劣悪な労働環境については、国際社会からも強い批判を受けており、カタール政府も改善策を打ち出している。例えば、2020年には、労働者の保護に関する法律が改正され、最低賃金や労働時間、福利厚生などが改善される方針が打ち出されている。また、カタール政府は、国際労働機関(ILO)と協力し、外国人労働者たちの保護に取り組んでいる。
しかし、実際の現場での改善が遅れていることもあり、国内外からは、さらなる改善を求める声が上がっている。今後も、カタールでの外国人労働者の労働環境改善に注目が集まることになるだろう。