2023年2月5日
バングラデシュのダッカ首都圏にある初の都市鉄道(メトロ)であるダッカメトロの1号線が2022年12月に開業したが、2月2日に2路線目の着工式が開かれた。着工は、すでに進行中の6号線に続き、2路線目である。日本が支援する国際協力機構(JICA)によると、ダッカ首都圏で着工式が開かれ、バングラデシュ政府や建設・運行主体のダッカ都市交通会社、日本大使館、JICAの関係者が参加した。
1号線は現在、国際空港や新興住宅地プルバチャール、国内最大の鉄道駅であるカマラプールなど19駅を結ぶ予定であり、全長31キロ。事業費は約7362億円で、うち70%は円借款を使用して整備される。全長31キロのうち、高架部分は11キロ(7駅)、地下部分は20キロ(12駅)であり、2028年の開業を目指し、1日当たり188万7200人の利用を見込んでいる。
建設事業の施工監理は、日本工営、オリエンタルコンサルタンツグローバル、片平エンジニアリングインターナショナルなど4カ国8社の共同企業体が担当する。全19駅のうち、7駅のデザインは建築家の隈研吾氏の事務所が手がける。
ダッカメトロを巡っては、12月28日に1路線目となる6号線が部分開業(12キロ、9駅)した。全線開業(計21キロ、17駅)は2025年を予定している。また、未着工だが、ダッカを東西に結ぶ5号線北路線(20キロ、14駅)が2029年中の開業を目指している。6号線、5号線北路線ともに、事業費の6~7割は円借款で賄われる。
ダッカメトロ計画については、地方政府の運輸・道路交通省が主導し、多数の国内外企業が参加している。日本はダッカメトロの建設を支援する一方で、総合都市交通計画の策定支援や鉄道技術者の育成、ダッカ市内の交通渋滞緩和にも取り組んでいる。
ダッカメトロは、人口爆発による都市化が進むダッカ首都圏の深刻な交通渋滞を解消するために建設されたものである。2023年の完成予定までに、約1,000万人のダッカ市民が交通の便を改善することが期待されている。
しかし、ダッカメトロ建設計画には複数の課題が存在する。まず、テロ事件以降、治安上の懸念が高まっており、建設現場での安全管理が必要である。また、建設費用の大部分が円借款に依存しているため、借入金の返済問題が懸念されている。
また、ダッカ市内の地下水位が高いため、地下鉄建設には大きな困難が伴う。建設時には、沈下や浸水などのリスクがあるため、安全対策に十分な配慮が必要である。さらに、ダッカ市内は狭い道路や不整形地形が多いため、地下鉄建設に必要な敷地確保や工事の実施に困難が予想される。
これらの課題にもかかわらず、ダッカメトロの建設はダッカ市民の交通問題解消に向けた重要な取り組みである。今後も、ダッカ市の発展に向けた取り組みが続くことが期待される。