ミャンマー送金事業の買収額を引き下げ ヨマ・ストラテジック・ホールディングス 

2022年12月1日

ミャンマーの財閥、ヨマ・グループ傘下のヨマ・ストラテジック・ホールディングスは、テレノールが持つモバイル送金事業「ウエーブ・マネー」の51%の株式の買収額を4000万ドル(約57億円)に引き下げることで合意したと発表した。この金額は、1月に発表された5300万ドルから引き下げられた。

ウエーブ・マネーを利用して決済する市民

ヨマは「双方のミャンマーにおける事業戦略や経済の見通しを考慮した」と説明した。ミャンマー当局から事業譲渡の承認を取得したことも公表された。

ウエーブ・マネーは、テレノールとヨマ・グループの合弁事業として2015年に設立された。このサービスは、零細雑貨店などが請け負う代理店を通じ、受取人の携帯番号を指定して送金することができる。スマートフォン用アプリによる店舗での電子決済にも対応している。

ミャンマーは、政治的な混乱や新型コロナウイルスの流行により、経済が大きな打撃を受けている。ヨマ・グループは、ミャンマーの経済の回復に向けて、ビジネスを拡大していく計画を進めている。また、ヨマ・グループは、石油精製、不動産、建設、金融などの事業を手がけており、ミャンマーで最も影響力のある企業の1つとされている。

テレノールは、ミャンマーで事業を展開している数少ない外国企業の1つである。同社は、ミャンマーにおける通信事業を手がけており、ウエーブ・マネーを通じて、ミャンマー国内でのデジタル決済市場に参入していた。

今回の取引は、ミャンマーの政治的な不安定さと経済的な不確実性の中での不透明な状況に直面している。

しかし、ヨマ・グループは、ウエーブ・マネーが、ミャンマーの人々にとって重要な送金手段となっていることから、引き続き同サービスを提供していくことを表明している。同社は、今後もウエーブ・マネーの普及を促進するため、積極的な事業展開を行っていく方針だ。

ミャンマーは、2021年2月にクーデターが発生して以降、政情不安定な状況が続いている。このため、ミャンマー国内のビジネス環境は悪化しており、多くの企業が事業の縮小や撤退を余儀なくされている。しかし、ウエーブ・マネーは、スマートフォンが普及しているミャンマーにおいて、電子決済や送金サービスが急速に拡大している市場に参入しており、今後の成長が期待されている。

テレノールは、ミャンマーにおけるビジネス環境の悪化により、ウエーブ・マネーの事業展開が難しくなったことから、株式の売却を決定した。一方で、ヨマ・グループは、ミャンマーの事業環境が改善すれば、ウエーブ・マネーの事業拡大が見込めると判断し、買収を進めていた。

今回の取引により、ヨマ・グループは、ミャンマーにおける送金サービス市場での地位を強化することができる一方で、ウエーブ・マネーの事業拡大に向けて積極的な投資を行うことが求められる。ミャンマー国内の政治情勢や経済環境が改善しなければ、ウエーブ・マネーの事業展開には厳しい状況が続くことになるだろう。