印パ間で軍事衝突激化、カシミール情勢緊迫

 2025年5月9日

2025年5月7日未明、インド軍がパキスタン国内および実効支配線(LOC)を越え、カシミール地方のパキスタン支配地域(PoK)の計9カ所を空爆した。インド政府は「テロリスト拠点への限定的な対テロ作戦」と主張しているが、パキスタン側はこれを「一方的な侵略行為」と強く非難し、報復措置を示唆。核保有国同士の軍事衝突に発展する危険性が高まり、カシミール地方の情勢は一触即発の事態に陥っている。

インド国防省の発表によると、空爆は午前3時頃から始まり、パキスタン国内の「テロ組織の訓練キャンプ」や「テロリストの潜伏先」が標的とされたという。インド軍は、今回の作戦は先のカシミールでのインド治安部隊への攻撃に対する「正当な自衛措置」であると強調している。

これに対し、パキスタン外務省は緊急声明を発表し、インド軍による空爆を「主権侵害」と断じ、強く非難した。声明では、「パキスタンは、いかなる侵略行為に対しても断固として自衛する権利を有する」とし、報復措置を取る可能性を示唆した。パキスタン軍は、空爆による被害状況や犠牲者の有無について詳細を明らかにしていないが、一部では民間人の被害も報告されている。

カシミール地方では、印パ間の実効支配線付近で砲撃戦や小競り合いが常態化しているが、今回のような本格的な空爆は極めて異例であり、両国間の緊張がこれまでにないレベルにまで高まっていることを示している。国連や国際社会は、両国に対し冷静な対応を求め、事態のさらなるエスカレートを避けるよう呼びかけている。

今回の軍事衝突の背景には、カシミール地方を巡る領有権問題に加え、テロリズムへの対応や国内政治的な要因も複雑に絡み合っていると見られている。核を保有する両国間での偶発的な衝突は、地域全体の不安定化を招きかねず、国際社会は事態の推移を極めて憂慮している。

停戦合意に向けた国際的な仲介の動きも期待されるが、現状では両国間の溝は深く、緊張状態が続くものと予想される。