インド北部を暴風雨が襲う 多数の死傷者、農作物に壊滅的被害

 2025年4月12日

 インド北部のビハール州、ウッタル・プラデーシュ州、ジャールカンド州を激しい暴風雨、雷、そして雹(ひょう)を伴う悪天候が襲い、広範囲に甚大な被害をもたらした。当局の発表によると、これまでに少なくとも50人以上が死亡、多数の負傷者が出ており、農作物への被害は壊滅的なレベルに達している。

特に被害が集中したのは、各州の農村部で、突如として降り出した激しい雨と雹により、収穫期を迎えていた小麦や豆類などの農地が広範囲にわたって水浸しになり、多くの作物が倒伏した。一部地域では、雹の粒がゴルフボール大に達し、建物の屋根や車両にも損傷を与えたと報告されている。

地方当局によると、死者の多くは落雷によるもので、屋外で作業していた農民や、倒壊した家屋の下敷きになった住民が含まれるという。負傷者も多数出ており、各地の病院では救急搬送された住民の治療に追われている。通信網や電力網も寸断され、孤立した集落も発生しており、救助活動は困難を極めている。

インド気象局は、今回の異常気象は、ベンガル湾から流れ込んだ湿った空気と、インド上空に停滞していた低気圧が結合したことによると分析している。近年、インドでは異常気象による自然災害が頻発しており、特にモンスーン期以外にも、突発的な豪雨や雹が発生する傾向が見られる。

各州政府は、被災者への緊急支援と被害状況の迅速な把握を進めている。ウッタル・プラデーシュ州のヨギ・アディティヤナート首相は、被災者への経済的支援を表明し、速やかな復旧を指示した。しかし、広大な被災地域での復旧作業は長期にわたると見られており、特に農村部の経済への影響が懸念されている。

今回の暴風雨は、インドが気候変動の影響にますます脆弱になっている現状を改めて浮き彫りにした。政府は、今後の気象変動への適応策と、災害への早期警戒体制の強化が急務であるとしている。