アジアの災害脆弱性浮き彫り ADRC「自然災害データブック2023」公開

2025年 3月1日

アジア防災センター(ADRC)は2月28日、「自然災害データブック2023」を公開した。この年次報告書は、2023年にアジア地域で発生した自然災害の統計データと詳細な分析を提供しており、地震、洪水、台風、干ばつなど、多様な災害に対するアジア地域の根強い脆弱性を改めて浮き彫りにしている。

データブックによると、2023年もアジアは世界で最も自然災害の影響を受けた地域の一つであり続けた。特に、熱帯低気圧や集中豪雨による洪水・土砂災害が多発し、広範な地域で甚大な人的・経済的被害をもたらしたことが報告されている。また、一部地域では地震活動が活発化し、過去の経験を活かした防災対策の重要性が再認識された。

ADRCの担当者は、「データブックは、過去の災害から学び、将来の災害リスクに備えるための貴重な情報源となる」と述べ、各国政府や関係機関に対し、このデータブックを活用して、より効果的な防災・減災策を策定するよう促した。特に、気候変動の影響により、異常気象の頻度と強度が増している現状を鑑み、新たなリスクに対応するための適応策の必要性が強調されている。

データブックでは、災害の種類ごとの発生頻度、被害状況、被災者数などが詳細に分析されており、災害への備えや早期警戒システム、強靭なインフラ整備の重要性が改めて指摘されている。また、コミュニティレベルでの防災教育や、国際的な協力体制の構築も、災害に強い社会を築く上で不可欠であると結論付けている。

今回のデータブック公開は、アジア地域が直面する自然災害の脅威に対し、科学的根拠に基づいた対策の強化が喫緊の課題であることを明確にした。ADRCは、今後もデータの収集・分析を通じて、アジアの防災力向上に貢献していく方針だ。