2023年2月16日
インドの税務当局が14日、BBC放送の支局に対して捜索を実施した。
これは、過去にインドで起きた宗教暴動に関する番組で、現在のモディ首相を批判したことに対する報復との見方がある。捜索は表向き、国際課税などの不正疑惑に関連しているとされている。
BBCは1月に、西部グジャラート州で2002年に起きた宗教暴動を検証するドキュメンタリーを放送し、当時の州首相であった現在のモディ首相が混乱を止めようとしなかったため、被害が拡大したと指摘した。これに対し、インド政府は「偏見に満ちたプロパガンダ」と反発し、番組の視聴を厳しく統制し、上映会を企画した大学生を拘束するなどの弾圧を行っている。
捜索に対し、BBCは「我々は完全に協力し、適切に対応するつもり」と声明を出した。BBCの記者は「税務当局職員が捜索に来て、支局の全ての携帯電話を押収した」と語った。他にも、西部ムンバイの支局も捜索を受けた。
この事件に対して、インド内外から批判が集まっている。報道機関に対する政府による報復との指摘があることから、インド政府はプレスの自由を尊重するよう求められている。
BBCが放送したドキュメンタリー「India: The Modi Question(インド:モディ問題)」が、インドの宗教暴動とモディ首相の関係を取り上げたものである。インド政府はこのドキュメンタリーを「植民地時代の発想」に基づく「プロパガンダ作品」と批判し、緊急事態法を発動して、視聴を禁止している。最近、BBCに対して家宅捜索が行われたことについて、超党派の報道関係者団体やアムネスティ・インターナショナル・インドの理事会が懸念を表明し、政府批判を黙らせるための嫌がらせだと非難した。一方、BJPのガウラヴ・バティア広報担当は、BBCを「世界で最も腐敗した組織」と批判し、政府とは無関係だと述べた。